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サン・クロレラ クラシック 2012

ブレンダン・ジョーンズが今季2勝目

先に劇的バーディを決めて、塚田を封じた。
ジョーンズが今季2勝目をあげた。大会は2勝目。思い出の小樽でリベンジにも成功した。

粘り勝ちだった。1打差の2位から出た最終日は膠着状態の「心理戦」。
塚田好宣とがっぷり四つに組んだまま、互いに身動きが取れない。もたつく塚田に付け入れそうで、付け込めない。

募るイライラも、9番あたりで爆発寸前。「それから10番、11番、12番・・・と、良い悪いのアップダウンが激しくて。制御も効かなくなりそうだった」。

それでもどうにか持ちこたえた。「精神的にも、パニックになるほどには至らなかった」。
我に返って「まだ残りホールがある」と、落ち着きを取り戻して勝機を引き寄せられたのは、「経験の差だった」と胸を張る。

13番のバーディで単独首位に立つなり、いつもの強気も戻ってきた。いよいよ1打差で迎えた18番。右のラフから7メートルにつけたバーディパットも「絶対に入れる」。
先週の全英オープンで4日間を戦って、帰国したばかり。直後は時差ぼけ、週末は背中や腰痛に悩まされながらも、どうにか気力を振り絞ってここまで来た。

さすがのタフガイもヘトヘトで「プレーオフは、もうごめん」。
塚田がバンカーからみごと、奥6メートルにつけたバーディパットも、「サドンデスにもつれ込むのは嫌だった」と、打たせる前にチャンスを奪った。
お先に劇的バーディで、「メンタルゲーム」を打ち切った。今も日本ツアーで戦う外国人選手の中では最多記録をまた伸ばした。ツアー通算12勝目を達成させた。

悲願の初Vを逃した塚田に言った。「勝つのは簡単ではない」。勝者のおごりではない。「激励をしてくれた」と、塚田もジョーンズの思いを受け止めた。
「勝つためには悔しい思いも、何度か繰り返さないといけない。ツカダもきっとこの経験が生きるはず」とジョーンズが言ったのは2009年、自分もこの場所で悔しい思いをしたからこそだ。

石川遼との史上まれにみる熾烈な争いは、タイで迎えた18番でバーディを決められて、土壇場で敗れた。
よみがえった苦い記憶。
「あのときの遼と、今日のツカダの最後のバーディパットが、同じラインだったんだ」。
だからこそ、最後のバットも強い気持ちで打てた。「ツカダもきっと、入れてくる」。そう、4年前の石川のように。
今度はその前に、自分が決める。強い気持ちでねじ込んだ。当時の経験が、いま生きた。
「今年、遼はここにはいないけど。この優勝が、アメリカで戦う遼へのエールになれば」と、大会2度目の優勝インタビューでは、海の向こうで奮闘を続ける年若きライバルへのメッセージも忘れなかった。

大会2日目の27日には、長男キリン君の5歳の誕生日に66をマークして「今日のスコアは、お前へのプレゼントだ」。
「サンキュ〜」と、遠距離電話の向こうであまりにも、軽い調子であしらわれたのは癪だったがそんな息子にも、優勝賞金3000万円を持って帰れば今度こそ、父親の威厳を保てる。

開幕戦に続いて、今季2勝目に賞金ランキングはトップにのし上がった。当然、チラリとよぎるのは、自身初の賞金王の座。
「確かにチャンスだけれど」と、やにわに芽生えた色気を振り払う。
「まだツアーはようやく半分終わったばっかりだから」。
欲を出すのはまだ早い。「これからまた次の1勝に向けて、頑張ります」と、腕まくり。
日本ツアーは2週間のオープンウィークの間に、今季メジャー最終戦・全米プロでも、ひと暴れしてくるつもりだ。
  • 破れた塚田に「勝つのは簡単ではない」と言ったのは、「経験を積めば、君も必ず勝てる」というエールの裏返しだ。
  • キャディ仲間に祝福される専属キャディのスコットさん(左)。実は、ジョーンズが夏休みを取った先のセガサミーカップは臨時タッグで李京勲のバッグを担いで2試合連続V!
  • 大会は2003年以来、9年ぶりの2勝目。当時は道内の別のコースでの開催だったので、小樽では悲願の初Vだ。

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