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デサントクラシック マンシングウエアカップ 1999

最後の大波乱

誰もが、井田安則の優勝を信じて疑わなかった。
16番ショートで、グリーンふち13メートルに乗せ、これを見事、沈めた時点で、2位と2打差。
最終組の井田の2組前、通算11アンダーでホールアウトしていた河村雅之などは、もう、決まりだと信じて、すっかり帰り支度をはじめていたくらいだ。
「まさかプレーオフになるとは思わずにもう、すっかりシューズもはきかえてしまってたし、キャディバッグもトラベルカバーにしまいこんでたんです。ラッキーとしか言いようがない。複雑な心境ではありますが・・・」(河村)

続く17番。
ティショットは「左サイドを狙ったつもりが、まっすぐ行ってしまって」(井田)
フェアウェーセンターよりやや右にある、2本の木の真後ろ、スタイミーになる厄介な箇所へ。
9番アイアンでウェッジを開き、木の左側からスライスボールで果敢にグリーンを狙ったが、「バックスイングが小さかった」。
グリーン手前のグラスバンカーに入り、そのホールボギーとして2位に1打差で最終18番を迎えることとなった。
それでも、「まだ1打差ある。2オン2パットでいけばいい、と思った。それがまさか・・・・」

敗れた直後の井田 18番。フェアウェーど真ん中からの第2打。
ピンめがけて無事2オンするはずの球は、水しぶきを上げた。
池ポチャ。
そのあと、いったん池の淵に這いあがってきたかに見えたが最後に力尽き、再び池に沈んだ。
「3分の1くらいボールが草に沈んでいて、そのすぐ手前にあった雑草にクラブが負けてしまった。
フェースが抜けきれず開いて入ったんです。まさか池に入るなんて・・・」(井田)。

打ちなおしの4打目は、橋を渡って池と池に挟まれたラフから。
「今度はライが良すぎて草で、球が浮いていたんです。アプローチウエッジで打ったのが、球のうわっ面に当たり、勢いのひ弱なボールになってしまった」
また、池。
ようやく、6打目でグリーンを捉えたが、18番をバーディであがり逆転で通算11アンダーとした細川和彦と、米山剛、河村雅之らに、3打差をつけられる結果を自ら、招いてしまった。「16番で長いのをいれて、よッシャ!と思ったんですが・・・」

ホールアウト後。スコアカードを提出した後、井田は、周囲からかかる『残念でした』の声にも、答える気力を失ったかのように、無表情にうなだれたままクラブハウスまで戻ってきた。
ひどく痛手を受けているかに見えた。

だが、ポーカーフェイスを最後に緩め、力強くこう言った。
「次のつるやオープンは地元なのでがんばります。あのコースは、最終ホールに池はありませんからね。・・・仇は、討ちます」

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