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シニアのみなさんのモーニングルーティン

2005年にスタートしたときから、大会テーマは「for CHILD CHARITY」だ。

難病を抱える子や家庭環境に恵まれない子、震災で辛い思いをしてきた子たちのために重ねてきたチャリティ金は、19年で累計4億2517万8580円にのぼる。


シニアのPGAのみなさんの朝もまず、子どもたちへのクリスマスプレゼントから始まる。

大会に見学に訪れた地元ジュニアの子たちや、スナッグキッズにお菓子がいっぱい入った赤い袋を配って歩く。



それぞれのスタートまでまだ時間はいっぱいあるのについつい、みんなスタートの1番ティに集まってくるのもすっかり染みついた習慣だ。


自分の番でもないのに、ぶんぶんとクラブを振ったり、顔をつきあわせてあーでもないこーでもないと井戸端会議をしてみたり。



「年を取るとせっかちでねぇ・・・」と済まなそうに言うのは男子ゴルフで3回、シニアツアーで2年連続と、合わせて5度目の出場を果たした藤田寛之プロ。


ちなみに、男子ゴルフでは通算18勝、43歳の2012年には賞金王に就いています、念のため。

そんなレジェンドは、ふと後ろのロープ際のギャラリーさんに気がついて「僕らで見えないですね」と、そそくさと腰をかがめる。

気配りの人たちである。


4年ぶり7度目の出場を果たした石川遼も、「久しぶりにシニアのみなさんとラウンドできて、個人的には藤田さんと回れたのは楽しかった」と、感想を述べている。



シニアツアーの最年長ということは、当然、全出場選手の中でも最年長の61歳、久保勝美プロ。

「久保さんの、キャディさんは小久保さん。ギャグですね」と可笑しそうに笑うのは、シニアのPGAのスタッフさん。


久保プロは、前半9ホールの同じティから打つ3番ホールで、小祝さくらさんに飛距離で負けたそうだ。

久保プロとペアを組んだ塚田好宣プロが、暴露した。
「やめてよ。言っちゃだめよ、恥ずかしいっ」。


小祝さんと女王の山下美夢有さんのペアに8アンダーで、ぶっちぎられて、「頑張っても頑張っても追いつかない。スゴいですね」と、泣き言を言いながらも、シニアの面々は、朝からなんだか楽しそう。

「こんなギャラリーの中で、プレーできるというのはシニアでは経験ない。女子のみなさんは、毎日でしょうけど。嬉しい・・・」と、デレデレしていた。


そんなシニアの面々の目の色が急に変わったのは、合計ポイントで、男子に1点リードで入ってきた後半最後の9番だった。

久保プロと、塚田プロのチームスコアは、石川とヨンハンに2打差の2位。


ほぼ諦めムードでいたのに、石川がティショットをまさかのOB。

「ワンちゃんあるぞ!」と、グリーン回りがざわついた。

久保プロが、男子の隙を突いてアプローチで塚田プロにつなぐとしっかりバーディで、ダブルボギーの石川&ヨンハン組を逆転。

2位に食い込んだ。


大会前夜の決起集会で、シニアのみなさんが今年の目標に掲げたのは、4大会ぶりの4勝目でなく「トップ3に入ること」。

いや、3団体で競ってますけど??
「うちは、大まじめに3位が目標でした」とは先のPGAスタッフさん。

勝ちを相手に譲って欲張らず、明るく楽しく飄々と。
シニアの面々にとってはそれこそが、運を掴む極意みたいだ。最終結果