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日本オープンゴルフ選手権競技 2012

宮里優作は、今日の風は海の色

3日間で一番強い風に、横殴りの雨も降った。たとえ地元出身といえども、難条件には変わりない。「アドレスしても、風を感じてアゲンストなら無意識に左足体重になったり。軽く打とうとしても、体が勝手に反応して力が入る」。

その抑止力になったのが、妹・藍さんとのオフ合宿。藍さんが師事するピア・ニールソンと、リン・マリオット。2人の教えが、生きている。

「風を色で感じて打つ。自分が落ち着く色をイメージして打つ」。
そのときの気持ちによって、イメージできる色ならなんでもいいが、「赤はダメ。カッカするから」とはなから却下。時には黄色も採用するが、もっとも良いのはやはりこの色。

「沖縄の海の色。それがやっぱり一番落ち着く」。

悩めば悩むほど気が滅入る強風も、故郷の海の色に染めてしまえば、リラックスして打てる。
イマジネーションも膨らむ。
難条件にもタッグを組んで、今年2年目になる杉澤伸章さんと「のめり込みすぎずに、自分を外から見る感じでやっていこう」と話し合った。

客観的に状況を把握するにも、風に色をつけてプレーをすることが役だった。
「明日は服も青にしよう。そうしたら、ずっと落ち着いていられる」と、とっておきの秘策も明かした。

この日本一決定戦は、決勝ラウンドを2人1組の2サムで回る。
中嶋常幸との直接対決も、地元ファンの指笛が鳴り響く中で、心ゆくまで楽しめた。

ジュニアのころに観戦に来た大京オープン。かつて沖縄で開かれていたツアー最終戦は、今でも大切な思い出だ。
トッププロが魔法のように繰り出す技の数々は、家に帰って兄の聖志と、「あの硬いグリーンにどうやったら球を止められるか。あんなスピンをかけられるのか」と、時間も忘れて話し合った。

「あのとき見たプロとこうして一緒に回れると思うと感慨深かった」とひそかな喜びで胸を浸しながら、優勝争いに踏みとどまった。

最終日は3打差の4位からにらむツアー初優勝は、日本一のタイトル。
「明日もやることは一緒。このコースで伸ばすことは期待出来ないので、とにかく自分のゴルフをしてたくさんの応援と、その相乗効果で行ければ」。
最終日こそ地元ファンの声援を追い風にする。

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