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日本オープンゴルフ選手権競技 2012

平塚哲二は「いつかは勝ちたいと夢見るタイトル」

明け方に夢を見た。「出だしから、ボギー、ボギー、ボギー、ボギーを叩く夢」。4ホール連続の失速にうなされて、目が覚めた。時計を見たら、まだ4時だった。「ああ、夢で良かった」と安堵してもう一度眠ったが、コースに来てリーダーは、再び冷や汗をかくことになる。

スタートの1番でボギーを打った。
「・・・正夢とちゃうやろな?」。嫌な予感がよぎったが、それもすぐに断ち切った。続く2番で左のバンカーから6メートルにつけて、これを沈めて取り返した。

この日は3日間で一番の強さに加えて、ときおり激しい雨も混じって、重たい潮風にも「自分の持てる力を全部出し切る」と、強い決意で臨んでいる。

難易度の高い13番。439ヤードのパー4で「右からもろに近い感じのアゲンストは3番アイアンで手前に刻むか。スプーンで軽くぽ〜んと行くか」。
左のラフから195ヤードの第2打はしばしの思案の末に、スプーンを握った。1.5メートルにつけた。
この3日間で、初日の塚田好宣に続く2人目のバーディ獲りには「完璧すぎましたね」と、普段はめったに自分を褒めない男が、そこはさらりと自画自賛。

ここ那覇ゴルフ倶楽部は風の吹かない日などなく、「ゴルフ場のプレッシャーがきつくて。そのホールをどう攻略するかというので必死で」。
体力には自信があるが、日々頭の疲れは相当なもの。

だから明け方にも、そんな不吉な夢を見た。
夢の中でも苦しむほどに、手強いコース。手強い大会。
しかしだからこそ、「1年間を通しても一番、自分の力を発揮出来るトーナメントだと思っている」。
苦しい中でもアイアンの切れと、アプローチとパターで拾って、拾って、拾いまくって「とりあえず、優勝とかは二の次で、必死にやるだけ」。

そうはいっても、苦闘の末にもし自分がここで、最後に頂点にいられたら。
しばし宙に目を泳がせた平塚が、ふっとはき出す。
「勝てれば、凄いことですよね」。

年齢を追うごとに、タイトルの重さをひしひしと感じるようになった。「いつかは勝ちたいな、と夢見るジャパンオープン」。最終日こそ、伝統の優勝杯を掲げる夢を見る。

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