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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2012

賞金レースもいよいよ最終戦

大会は開幕前日恒例の“2トップ”による記念撮影。藤田と優勝トロフィーを挟んで立った谷口は「今年これは僕が」と一人でさっさと持ち上げて笑わせた
いよいよ、ここまで来て「興味がない」とはまさか言えない。「二兎を追うどころか、三兎を追う。厳しいし、甘くはない」。それでも、いよいよこの今季最終戦で、やっとこの男が心を決めた。

「3連覇と、世界ランキングと、賞金王と。最後に、全部持って帰りたい」と、藤田は言った。

今年の勝者と賞金ランキング25位までの選手にしか出場出来ないこの「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で昨年、ツアー制度施行前の第1回の1963年から数えて史上5人目の連覇を達成したが、「3連覇はまだ過去にいないそうですね」。

大会史上初の快挙で、自身初の戴冠なら「最高のシナリオ」。
現在、48位の世界ランキングの上昇も、間違いはない。

ここ東京よみうりとの相性の良さは、本人も認めるところだ。所属コースの葛城ゴルフ倶楽部も手がけた井上誠一氏は、「きついグリーンのアンジュレーションやバンカーのライン、フェアウェイも含めて雰囲気が非常に似ている。他の選手よりも、僕には受け入れやすいところがあるかもしれない」と、コースさえ栄光の瞬間を、味方してくれているような気がする。

晴れ舞台に備えて、練習日の火曜日には風邪の症状で、「ふらふら」としながらも地元の美容院に駆け込み、散髪もぬかりなく済ませた。
「昨年か、一昨年も確か同じ店に行きましたが、験担ぎじゃないですよ」。笑って否定したが、スコアが悪かった日のウェアは、二度と着ないというこだわりもあるだけに、1ヶ月半ごとと決めているという散髪も、あながち意味の無い習慣とも言い切れない。

「賞金王は、モチベーションにはならない」。そう言い続けてきた1年間。「でもここまで来たら、口にしなくちゃいけない。関係ないとは言えない」。
断然有利で迎えたこの今季最終戦だ。
単独16位以上なら、2位の谷口徹がたとえ優勝しようと藤田の賞金王が決定する。
でも決して楽観など、していない。
「谷口さんは、追い込まれれば追い込まれるほど、力を発揮する人なので」。

「えらく持ち上げますね」と、ここで谷口。
「こないだまでは、上から目線だったのに。さては下手に出たら、僕が優しくなると思ってるんじゃ?!」。そうは問屋が卸さない。

先週は、発熱のために2日目に無念の棄権。一度は終わったと思った。「藤田くんが、16位以下になるほうが、難しいんじゃないか」と、依然として劣勢ムードは承知の上で、谷口はまだ吠える。

「2位なんていらない。僕は優勝を目指すのみ」。きっぱりと言い切った。

「もし2位になったら、他の選手に賞金をあげてもいい」とはもちろん冗談だが、それくらいの覚悟でやって来た。今大会は2年連続の優勝争いも、2年続けて藤田に有終の美を譲った。
「そんなの、覚えていない。負けたことなんて、すぐ忘れる」と口では言うが2年続きの敗退が、燃料のひとつになることは間違いない。

今大会の初日は賞金ランキング順に組まれる。まずは、直接対決の第1ラウンドでライバルの気勢を少しでもそぐ作戦。「目の前の相手に負けないように。1打でもリード? そんなの足りない。初日にいっぱい差をつける。それのほうが気分がいいからね」。
それに、敵は藤田だけではない。「他の25人もいるからね。今日は全員呼んでミーティングでもして、ご飯をごちそうしようかな。でも、藤田くんは呼ばないけれど」。
最終戦もまだまだ元気な40代2人。注目の舌戦も、楽しみだ。

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