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日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills 2012

小林正則がボギーなしの64

3バーディで折り返した後半の10番で、ひとつ大きなピンチを迎えた。「絶対にボギーだ」と、覚悟したアプローチを2メートル半に寄せて、これを沈めた。「パーで我慢出来たから、そのあと3つが来た」と、11番から3連続バーディで、一気に首位に躍り出た。

15番でもバーディを奪い、2位と2打差に。
64は、コースレコードタイ記録に1打、及ばなかったが自己ベストを更新したばかりか毎年、タフなセッティングで知られる宍戸でボギーなしには「一生の記念になる」。

昨年のとおとうみ浜松オープンで、プロ14年目にして悲願のツアー1勝をあげたというのに、この選手は今だにデビューしてそこそこの新人選手のような感覚でいる。
上がってきてスコア提出場に向かう道すがらで口々に他の選手に冷やかされて当然のように、言い返した。
「俺がノーボギーなんて、ありえないでしょ」。

初優勝から2週経った昨年の今大会でも、初日と2日目に首位に立ち、3日目には確かにやにわに82を打って急降下をしたが、最終日にはまた69を出して、挽回してきた。

そして今年は昨年を上回る好発進に、宍戸との相性の良さは少なからずあるはずだが、「俺もよくわからないけど、それはないでしょう」と言い張る。

それでも、この日のショットは自他共に認める好調ぶりで、「今週はどうせ難しいコースだし、思い切って変えてみよう」と、前よりも固くてしなりの少ないシャフトに変えたのも奏功した。

連覇をかけた2週前の会場で、先輩の湯原信光にパッティングを教わったのも良かった。
「ラインに乗っけよう、乗っけようとしすぎてタッチもあっていなかった。アドレスでも体が傾いていた」と、修正を加えて、この日はチャンスを余すところなく決められた。

「自信? ないですよ。俺は百戦錬磨の選手ではないもの。こんな難しいコースでは、どこでどうなっちゃうか分からないもの。無理無理」と、相変わらず言いつのったが、このオフはアジアンツアーで試合感を途切らせることもなく、タフなフィールドでしぶとく戦ってきた経験は十分に、血となり肉となっているはずだ。

「そうですね、せっかく良い位置にいるので。絶対にこのコースは我慢のゴルフになるので。俺も最後まで我慢してやってみたい」。昨年は3日目の大叩きでふいにしたツアープレーヤーNO.1の称号をしぶとく狙ってみたい。

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