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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2012

丸山茂樹は「もう少し、お手本で・・・」

今季は、オフに入念なトレーニングで、持病の腰痛と縁が切れたと思ったら、「今度は背中に、肩に指に・・・満身創痍で」。特に、左親指の付け根は深刻だ。
2年前から「なんとなく痛かった」。
オフにアメリカで診断を仰いだら、「慢性の亜脱臼」と言われてショックを受けた。

「完全に関節が外れてしまって・・・これは切らないと治らない、と」。
完治には、手術しかないとまで言われてへこんだ。
「そのときは、涙が流れたよ」とは、あながち冗談ではなかった。

患部を触ると、確かに骨と骨がかなりグラグラと、遊ぶような感じである。
月に一度、患部に直接、注射を打ち痛みを散らしているというが、先月の「日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills」は、ラフの深いセッティングが堪えた。
初日を終えて、やむなく棄権。

休養をかねて、その足でアメリカの自宅に帰った。
米ジュニアのカリフォルニアチャンピオンシップという大会で、長男・奨王(しょうおう)くんのバッグを担いで、「ラインを読んであげたり、距離を測ってあげたり」。
米ツアー3勝の雄が、愛息の通算“25勝目”を、みごとアシスト。

失いかけていた希望が、よみがえってくるのを感じた。
「この分だと、抜かれるのは時間の問題だけど。もう少し、息子のお手本でいたい、と思った」。
力がみなぎってくるのを感じた。

ジュニア時代から“天才”と呼ばれた。天性のコントロールショット。絶妙の小技。あふれる才能に、負けなしと言われた。
「それで30(歳)なかばくらいまで、上手くいきすぎたんだね」。
順風満帆のゴルフ人生も、「“修行僧”として見れば、まだまだだったんだね」。
度重なる怪我にも見舞われて、ここ数年は試練の連続。

もう、今にも萎えてしまいそうだった心は、無邪気に優勝を喜ぶ息子に、大いに癒やされて戻ってきた。
「頑張らないとね」と気合いを入れ直すきっかけとなった。

今週は、特にスポンサー契約を結んで3年目になる「セガサミーホールディングス」が主催するトーナメントで、結果が求められるが、初出場の2009年から予選落ち続きに、同社の里見治・代表取締役会長兼社長と、顔を合わせるたびに「そろそろ」と、せっつかれても今はただ苦笑いするしかない。

「本当に、そろそろだよね」。
本当に、そろそろ恩に報いなければ。

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